「地域医療連携推進法人」一体となった病院経営改善への取り組み

JMGPOが提供する医療共同購買のご利用者様の声や事例をご紹介いたします。

佐賀メディカルアライアンス

病院名: 地域医療連携推進法人佐賀メディカルアライアンス
    (令和3年1月29日認定)
担当者: 事務局 今里様、綾部様
所在地: 佐賀県鳥栖市轟木町1523番地6

佐賀県鳥栖市にて地域医療連携推進法人に取り組まれている地域医療連携推進法人佐賀メディカルアライアンスでのGPOの活用について、 事務局の今里 圭介 様、綾部 理恵 様、社会福祉法人ガジュマル 介護老人保健施設 アザレア 総務課課長 桑野 裕子 様にお話を伺いました。

地域医療連携推進法人 参加施設:
医療法人社団如水会、医療法人健裕会 古賀内科医院、社会福祉法人ガジュマル、医療法人鵬之風、医療法人ひかり医院、宮原医院、医療法人秀裕会 池田胃腸科外科

医療消耗品の共同購買への取り組みは、1910年頃、アメリカで始まったと言われています。現在、全米の病院の98%(U.S. Government Accountability Office(2014))が何らかのGPOを利用しており、医薬品、医療材料・器具などの購入の約72%がGPOを通じて行われていると言われるなど、共同購買は根付いています。
我が国における共同購買の状況は、大手病院でこそ既に導入が進んでいるものの、中小規模の病医院ではまだ取り組みは「始まったばかり」という状況です。
その理由は、中小規模の病医院の場合、
 ・個々の病院の購入ロットが小さいため、医療消耗品のコストダウンに取り組んだとしても、「コストダウン絶対額」が小さく、
  腰を据えた取り組みになりにくいこと
 ・専任の「購買担当責任者」を置くことができず、コストダウンへの取り組みに注力できないこと
 ・医療消耗品等の購買に際し、同種同等品の市場平均価格と、自院の購入価格との比較検討を行うベースとなる情報を得ることが
  難しいこと
等が挙げられます。
しかし、医業費用に占める割合(令和元年6月時点)のうち給与費は52%、材料費は25%(そのうち医薬品は15.1%、全国公私病院連盟(2020))ですので、病医院の大小を問わず、医療費用の10%を占める材料費のコストダウンは利益確保のための重要な課題であると言えます。
そして、地域において医療機関が連携することにより適切な機能分担、業務連携を実現し、地域における個々の病医院経営を健全かつ有効たらしめ、地域医療を支える仕組みが「地域医療連携推進法人」です。

上に挙げた様々な背景が故に医療消耗品のコストダウンに取り組むに至っていない中小病医院であっても、「購買機能の一部」を共同化することで、大規模病院と同等レベルのコストダウン効果が得られる取り組みが、各地で試行されています。

今回は「地域医療連携推進法人佐賀メディカルアライアンス」様に伺い、GPO利用に関してお話を伺いました。


本日はお時間をいただきありがとうございます。
先ずは医療法人社団 如水会 今村病院 事務管理部 事務次長 今里 圭介 様にお話しをお伺いさせていただきます。

今里様よろしくお願いいたします。
医療法人如水会 今村病院について教えてください。

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医療法人社団如水会 今村病院
事務管理部 事務次長 今里 圭介 様
当院は今年、開院から50年目を迎えます。現在の本館にあたる部分で19床の外科医院としての開院でした。令和6年4月現在、255床の許可病床を有しており職員も658名となりました。救急を主体に複数の診療科を増設し地域の中核病院としての機能を果たしています。

地域医療連携推進法人へのお取り組みになった経緯を教えてください。

約15年前までは、佐賀県東部地区には救急医療を十分に行える病院がなく、隣接する他県へ患者様を搬送するしかありませんでした。そこで当院の今村理事長は、療養型病院から急性期病院へ方向転換を決意されました。設備や医療機器、人材を確保するなど独自の改革を進められました。地域に不足する高度急性期病床の確保や地域医療機関の機能分化を進めるにあたり、地域医療連携推進法人の制度を活用したいと考え設立に至ったと聞いています。


推進法人としての取り組みと課題

現在の取り組みについて教えてください。

現在は、人材派遣、共同研修、共同購買(医薬品・医療材料)、病床融通等を連携推進業務として行っています。法人に所属されている医療機関からの要請としては、人手不足が第一に挙げられ、人材派遣を依頼されることが多いです。
医療材料や医薬品の共同購買もニーズはあるのですが、医療機関の規模によっては仕入れが少ないと効果も少ない。それよりは人手が足りないことの方が喫緊の課題とのことで、連携推進法人としてはこのテーマで補完できることで喜ばれているのが現状です。人材派遣を求めて加盟しているという施設もありますね。

医療消耗品の共同購買を進めるために感じていらっしゃる課題についてお聞かせください。

参加法人から直接発注から納品まで対応できなければ普及は難しいと感じています。採用している商品の一部を切り替える場合、商品数・商品量が少なくこのような対応可能な卸が少ないことも課題です。医療材料を安く購入できるようになるのは有難いが、それより単品買いがしたいとの要望が多く聞かれます。

中核になる病院でまとめて発注した方がよいという考えもありますね?各医院での個別発注がよいのか?これはGPOの利用の際に検討すべきテーマですね。従来の消耗品を、コストの安い選定品へ切り替えを進めることを考えるとどういう流れがスムーズだとお考えですか?

切り替えに関しては当院がサポートする方が良いと思います。そこまでの品目数もないので、労力もそこまでかからないと思いますし、外部から進言した方が受け入れられ易い側面もあると思います。ただ、発注に関しては請求書の問題もあるので一元化するのは難しいと思います。
逆に伺いますが、卸との交渉について、実際どうなんですか?小さい卸でも選定品価格での対応が可能なのでしょうか?

メーカーとの間で、各医療機関への納品価格を決定していますので、選定品価格での対応は可能です。

ならば病院内でも、もっと現状の購入価格の確認をする必要はありそうですね。


「コストダウン」に向けたマネジメント

私どもJMGPOが病医院から事前に購買実績のデータをいただいて調べると市場価格より高く購入されていることがほとんどです。
例えて申しますと、コンビニで買うか量販スーパーで買うかの違いに近いイメージですね。
しかし、前年対比でのコスト削減実績を評価すると、導入1年目は大きな削減になるが、2年目以降は効果が少なくなります。当たり前のことですが。しかし、多くの病医院では、「昨年のようなコストダウン実績が出ない」と言われることが多いのが実際です。あまつさえ、様々なコストが上昇している局面では、前年より値上がりする商材もどうしたって出て来ます。大切なことは、「普通に買うよりも安く調達できたかどうか」ですね。
ですから私どもJMGPOからは、一旦コストダウンに成功した品目に関しては「前年対比のコストダウン実績」ではなく、「市場平均価格との比較によるコストダウン実績」が重要だとお伝えしています。
よって、継続的な取り組みとは、以前切り替えた製品は使用を継続しながら、新たな製品も切り替えを進めていくことが大事になります。
そうした観点で、法人全体を巻き込んだマネジメントもしていくことが、組織として重要ではないかと思っています。


推進法人に所属する介護施設における活用事例

次に、JMGPOをご利用になられている、社会福祉法人ガジュマル 介護老人保健施設アザリアの総務課 課長 桑野 裕子 様にお話を伺いしたいと思います。

桑野様よろしくお願いいたします。
「ガジュマル」の名前の由来は何ですか?

ガジュマルという沖縄の木から取りました。3年前に社会福祉法人として設立し、各施設が花や木の名前になっています。

JMGPOで衛生材料を主にご使用いただいているかと思いますが、どの程度ご利用ですか?

ほぼほぼ全ての製品で利用しています。

さらに採用して欲しいアイテムはありますか?

シリンジがあると助かりますね。医材料の使用量は少ないですが、病院からすぐに(利用者を)受け入れすることもあるので慢性期病院程度の品目は使用します。


介護施設での購買活動の実際

皆様は他の地域に先駆けて推進法人としてコストダウンに取り組まれていますが、周辺の介護施設では購買活動に関してどんな状況なのでしょうか?

老健も協会があり、県単位で管轄があります。薬剤の共同購買は協会で取りまとめていますが、材料は行っていません。社会福祉法人は病院比較するとお付き合い頂ける卸さんが少ない状況です。併設の病院があれば病院と同等価格で購入していることも多いですが、単独ではかなり厳しいと思います。


共同購買に参加して

共同購買に参加されて、どんな点が良かったですか?

医療材料が安価に購入できることは大きかったと思います。
ベンチマークなどの意識を持つことも良かったと思います。

GPOというと病医院というイメージがあるのですが、介護施設でもニーズは高いのですね?なのになぜ、一般的に介護施設業界ではGPOを利用する動きにならないのでしょう?

あくまで社会福祉法人ガジュマルでの話ですが、お付き合いしている卸さんも少ない、出来高が少ないので、こうした共同購買の仕組みがあること自体が認知されていないとおもいます。

他のGPOサービスは大きい病院が対象になっていますけれど、我々JMGPOは規模の大小に関わらず参加が可能なのも特徴の一つですから、介護施設でもご利用いただくことは充分可能ですね。

社会福祉法人は入れないのですか?

そんなことはありませんが、やはり単独ではロットが少ないので地域の医療機関と一緒にまとまっていただくと参加しやすいかと思います。


地域医療連携推進法人としてのご要望

最後になりますが、地域医療連携推進法人が私どものようなGPOを利用する上で、要望などございますか?

今村病院 今里様:
クリニックが購入する製品の物流に関して整理されると、使いやすくなるかと思います。

今村病院 綾部様:
そもそものJMGPOへの参加の段階では、小さい施設への直接訪問などのサポートは難しいと言われていました。先程の介護施設は桑野という病院勤務経験者が材料選定など積極的に取り組んでくれているのでスムーズにできていますが、そういったケースは珍しいと思います。
今後は参加施設の規模に応じてサポートも手厚くしていただけると助かります。

今村病院 今里様:
介護施設に向けたコスト意識などの研修なども必要になると思います。
当法人では共同研修というかたちでYouTubeの活用しています。
感染の研修などを診療所の先生方に見ていただける体制になっているので、そこでコストに対するテーマを取り上げるのも良いかもしれませんね。そういった面でも今後ともお力添えいただきたく存じます。

弊社としても地域医療連携推進法人としてもっと活用していただくための課題やテーマがあるのであればそれらを解決しながら活動していきたいと考えています。
本日はお時間いただき、ありがとうございました。


病院の購買担当者の皆様へ
医療材料の本格的なコスト削減を行いませんか

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